2010年5月4日火曜日

Rate Ratio と Odds Ratio

この間の疫学ゼミ(2010/4/28)で、どういうわけか私は率比とオッズ比を勘違いしていた。

ゼミで使っているThe Foundations of Epidemiology というテキスト(←もちろんオールイングリッシュですわ…;;)に、食中毒の原因を探る例が載っていた。その中で食品別の罹患率(その食品を食べた人のうち、食中毒になった人がどのくらいいるか、すなわち「その食品を食べたの人の中で食中毒になった人数/その食品を食べた人全体の数」)とその食品を食べなかった人の罹患率(「その食品を食べなかったけれど食中毒になった人数/その食品を食べなかった人全体の数」)を各食品ごと比べて、その中から最も原因と思しき食品を見つけ出す、という設問が出されていた。

ある食品Aを食べた人の罹患率が23%で食べなかった人の罹患率が8%だった場合、単純に23÷8で、「食品Aを食べると食べなかった場合に比べて約2.88倍食中毒にかかりやすい」、ということになる。当然、食べた人の罹患率がより高く食べなかった人の罹患率がより低くて、食べた人と食べなかった人の間で罹患率の開きが最も大きい食品が食中毒の原因として疑わしい。

でもこの罹患率の比は率比(Rate Ratio)であってオッズ比(Odds Ratio)ではない。私はこれをオッズ比と勘違いしていた。

そもそもオッズというのはどういうものなのか?
オッズというのはある出来事が起こる確率と起こらない確率の比のことであるという。つまり、一枚のコインを投げて表が出る確率は1/2。表がでない確率も1/2。だからオッズは表が出る確率1/2÷表がでない確率1/2=1。オッズが1だということはつまり表が出る確率は出ない確率の1倍起こりやすい = 起こりやすさに違いはない。ということ。

そしてそのオッズ同士の比がオッズ比なのだ。

これをその食中毒の話ですると食品Aを食べた場合の罹患率が23%なら、罹患しない率(そんな言葉は存在しない)は(100-23)%で77%。23÷77で食品Aを食べて食中毒に罹患するオッズは約0.3になる。食品Aを食べなかった場合の罹患率は8%だから、食品Aを食べなかった場合の罹患しない率は(100-8)%で92%になる。8÷92で食品Aを食べずに食中毒に罹患するするオッズは約0.09。食品Aを食べた場合の食中毒の起こりやすさと食品Aを食べなかった場合の食中毒の起こりやすさの比、すなわちオッズ比は0.3÷0.09で約3.3で、食品Aを食べた場合の方が約3.3倍食中毒が起こりやすいとみなすことができる。

単なる率比とオッズ比とでは複雑さが全然違うみたい。これは混同してはいけませんね。

P.S.ていうか私は保健師免許を持っているのに、どうしてオッズ比の基本的な概念を忘れてしまったんだろう…恥ずかしい…。

Reference:柳川洋,坂田清美(編):改訂6版 疫学マニュアル,南山堂,2003

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