この間の疫学ゼミ(2010/4/28)で、どういうわけか私は率比とオッズ比を勘違いしていた。
ゼミで使っているThe Foundations of Epidemiology というテキスト(←もちろんオールイングリッシュですわ…;;)に、食中毒の原因を探る例が載っていた。その中で食品別の罹患率(その食品を食べた人のうち、食中毒になった人がどのくらいいるか、すなわち「その食品を食べたの人の中で食中毒になった人数/その食品を食べた人全体の数」)とその食品を食べなかった人の罹患率(「その食品を食べなかったけれど食中毒になった人数/その食品を食べなかった人全体の数」)を各食品ごと比べて、その中から最も原因と思しき食品を見つけ出す、という設問が出されていた。
ある食品Aを食べた人の罹患率が23%で食べなかった人の罹患率が8%だった場合、単純に23÷8で、「食品Aを食べると食べなかった場合に比べて約2.88倍食中毒にかかりやすい」、ということになる。当然、食べた人の罹患率がより高く食べなかった人の罹患率がより低くて、食べた人と食べなかった人の間で罹患率の開きが最も大きい食品が食中毒の原因として疑わしい。
でもこの罹患率の比は率比(Rate Ratio)であってオッズ比(Odds Ratio)ではない。私はこれをオッズ比と勘違いしていた。
そもそもオッズというのはどういうものなのか?
オッズというのはある出来事が起こる確率と起こらない確率の比のことであるという。つまり、一枚のコインを投げて表が出る確率は1/2。表がでない確率も1/2。だからオッズは表が出る確率1/2÷表がでない確率1/2=1。オッズが1だということはつまり表が出る確率は出ない確率の1倍起こりやすい = 起こりやすさに違いはない。ということ。
そしてそのオッズ同士の比がオッズ比なのだ。
これをその食中毒の話ですると食品Aを食べた場合の罹患率が23%なら、罹患しない率(そんな言葉は存在しない)は(100-23)%で77%。23÷77で食品Aを食べて食中毒に罹患するオッズは約0.3になる。食品Aを食べなかった場合の罹患率は8%だから、食品Aを食べなかった場合の罹患しない率は(100-8)%で92%になる。8÷92で食品Aを食べずに食中毒に罹患するするオッズは約0.09。食品Aを食べた場合の食中毒の起こりやすさと食品Aを食べなかった場合の食中毒の起こりやすさの比、すなわちオッズ比は0.3÷0.09で約3.3で、食品Aを食べた場合の方が約3.3倍食中毒が起こりやすいとみなすことができる。
単なる率比とオッズ比とでは複雑さが全然違うみたい。これは混同してはいけませんね。
P.S.ていうか私は保健師免許を持っているのに、どうしてオッズ比の基本的な概念を忘れてしまったんだろう…恥ずかしい…。
Reference:柳川洋,坂田清美(編):改訂6版 疫学マニュアル,南山堂,2003
2010年5月4日火曜日
2010年4月30日金曜日
What's "Ecological Fallacy"?
28日水曜日、私たち修士1年が初めて参加した疫学ゼミで、"Ecological Fallacy"という言葉が取り上げられた。
この言葉は、ゼミの教科書の"Foundations of Epidemiology"の最初のチャプターに書かれていて、文章で説明もされていたのだけれど、同期3人で自主ゼミをして読み下した時もこのフレーズだけは何の事だかわからず、訳せず苦労した。
ありがたいことにO先生がゼミの後、Ecological Fallacyの例を説明したデータをエクセルで私たちに送ってくださったので、エクセルをガチャガチャいじりながら先生からのQuestionについて考えてみた。(←本当は同期3人とも研究ログを作れと言われていたのにすっかり忘れていた、という体たらく。今日先生に注意されて初めて手をつけ、最初のログのネタに使わせていただいたのだけれど…(;-_-))

つまりこういうことだろうか?
統計処理されたデータ(この場合は平均値)を単純に比較してしまうと、その背後にある、分布の仕方や個々のケースの特徴がマスクされてしまうことがある。今回、先生が与えて下さった例で考えよう。単純にRegion AとRegion BのBMIと収縮期血圧の平均値を比べると、BMIの平均値がRegion Bより大きいRegion Aではやはり、Region Bよりも収縮期血圧の平均値も高い。じゃぁ、BMIと収縮期血圧には正の相関がある??
ところが、散布図を作ってRegion A, Region Bそれぞれの相関係数を出してみると、Region AではBMIと収縮期血圧の相関係数が-0.9627874(←有効数字なんて完璧に無視です、ごめんなさい;;)とかなり強い負の相関がみられる。と。しかしRegion Bでは逆に相関係数0.90109713とかなり強い正の相関がみられる。これでは単純にBMIと収縮期血圧の間には正の相関があるとは言えないかもしれない…Σ(;°□°)

Region Aという集団とRegion Bという集団では住んでいる人たちの特徴が大きく違うかもしれません(人種とか、生活習慣とか…etc.)。そしてRegion A,Region Bという集団の中でもどこからデータを取ってくるかでデータの持つ特徴は変わります。そうしたらRegion A とRegion Bでデータの分布の仕方が変わることも十分考えうることだと思います。個人レベルで見えてくる特徴が集団全体のレベルで見たときに見えなくなることがあること、そしてそれに気がつかず漫然と統計処理されたデータを比較して矛盾した結論を導いてしまうこと、これが"Ecological Fallacy"…?なのかな?と思いました。
「他人のデータは信用しない、生データは大切に!データは点で見ず、線で見よ!」っていうのが私の結論でございます。
Reference:http://www.aokilab.arch.titech.ac.jp/lab/optim/pdf/25.pdf
http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/kid/clinicaljournalclub13.html
http://webcache.googleusercontent.com/search?q=cache:Flh9J8QRScUJ:kadaiigakuka20.xxxxxxxx.jp/ekigaku/atyukan2004.doc+%E3%82%A8%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%A9%E3%82%B7%E3%83%BC+%E3%81%A8%E3%81%AF&cd=4&hl=ja&ct=clnk&gl=jp
この言葉は、ゼミの教科書の"Foundations of Epidemiology"の最初のチャプターに書かれていて、文章で説明もされていたのだけれど、同期3人で自主ゼミをして読み下した時もこのフレーズだけは何の事だかわからず、訳せず苦労した。
ありがたいことにO先生がゼミの後、Ecological Fallacyの例を説明したデータをエクセルで私たちに送ってくださったので、エクセルをガチャガチャいじりながら先生からのQuestionについて考えてみた。(←本当は同期3人とも研究ログを作れと言われていたのにすっかり忘れていた、という体たらく。今日先生に注意されて初めて手をつけ、最初のログのネタに使わせていただいたのだけれど…(;-_-))

つまりこういうことだろうか?
統計処理されたデータ(この場合は平均値)を単純に比較してしまうと、その背後にある、分布の仕方や個々のケースの特徴がマスクされてしまうことがある。今回、先生が与えて下さった例で考えよう。単純にRegion AとRegion BのBMIと収縮期血圧の平均値を比べると、BMIの平均値がRegion Bより大きいRegion Aではやはり、Region Bよりも収縮期血圧の平均値も高い。じゃぁ、BMIと収縮期血圧には正の相関がある??
ところが、散布図を作ってRegion A, Region Bそれぞれの相関係数を出してみると、Region AではBMIと収縮期血圧の相関係数が-0.9627874(←有効数字なんて完璧に無視です、ごめんなさい;;)とかなり強い負の相関がみられる。と。しかしRegion Bでは逆に相関係数0.90109713とかなり強い正の相関がみられる。これでは単純にBMIと収縮期血圧の間には正の相関があるとは言えないかもしれない…Σ(;°□°)

Region Aという集団とRegion Bという集団では住んでいる人たちの特徴が大きく違うかもしれません(人種とか、生活習慣とか…etc.)。そしてRegion A,Region Bという集団の中でもどこからデータを取ってくるかでデータの持つ特徴は変わります。そうしたらRegion A とRegion Bでデータの分布の仕方が変わることも十分考えうることだと思います。個人レベルで見えてくる特徴が集団全体のレベルで見たときに見えなくなることがあること、そしてそれに気がつかず漫然と統計処理されたデータを比較して矛盾した結論を導いてしまうこと、これが"Ecological Fallacy"…?なのかな?と思いました。
「他人のデータは信用しない、生データは大切に!データは点で見ず、線で見よ!」っていうのが私の結論でございます。
Reference:http://www.aokilab.arch.titech.ac.jp/lab/optim/pdf/25.pdf
http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/kid/clinicaljournalclub13.html
http://webcache.googleusercontent.com/search?q=cache:Flh9J8QRScUJ:kadaiigakuka20.xxxxxxxx.jp/ekigaku/atyukan2004.doc+%E3%82%A8%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%A9%E3%82%B7%E3%83%BC+%E3%81%A8%E3%81%AF&cd=4&hl=ja&ct=clnk&gl=jp
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